土地探しで擁壁に出会ったら知っておいて欲しい基本と注意点

土地探しをしていると擁壁のある土地に出会います。

擁壁とは、コンクリートブロックや石などを使用した壁のことです。

崖などの崩壊を防ぐための土留めとしての役割もあります。

土地を造成して盛土や切土をしたり、もともとあった崖の崩壊を防ぐためには、斜面を安定させたり、道路との高さを合わせるための「擁壁工事」が必要になります。

造成した土地の上に家を建築するので、
敷地内の土が流れて出さないようにする為に、重要な構造物となります。

擁壁の種類

擁壁にも、種類があります。

現場の状況や予算や工期に応じて施工されることが多いです。

  • CBブロック
  • CP型枠ブロック
  • 鉄筋コンクリート擁壁
  • 現場施工の擁壁
  • 間知ブロック
  • 間知石

CBブロック

コンクリートブロック(CB)は、コンクリートを型に入れて作ったもので、
補強の目的ので鉄筋をその継手に入れて施工されます。

多くは、厚みが15cm のものを高さ1.2m未満で施工されることが多いです。

CP型枠ブロック

3mまで積み上げることが出来る製品ですが、
住宅の建築において、使用することは少ないです。

理由としては、建築基準法で高さが2mを超える擁壁は工作物として扱うので、
工作物として建築確認申請を提出して確認を受けなければならないことで、
費用と期間がかかるためです。

鉄筋コンクリート擁壁

鉄筋コンクリート擁壁には、逆T型、L型、逆L型の3種類があります。

いずれも、崖の斜面の土留めをする目的で垂直に立つI型の構造に加え、
地中に水平方向にコンクリートの足が広がっていることで、
垂直に立つ擁壁の倒伏を防ぐ構造になっています。

敷地の条件によりますが、隣家の敷地に入らないように、
これらを使い分けて設置することになります。

現場施工の擁壁

現地で土圧を計算された設計通りに鉄筋を組みコンクリートを打設して施工された壁です。

鉄筋コンクリート擁壁は既製品の為、重機などによる運搬・施工が必要になります。

その為、鉄筋コンクリート擁壁を載せたトラックや重機が進入出来ない事があります。

そういった現場で施工されることが多くなります。

間知ブロック

間知ブロック練積み造と呼ばれるもので、あらかじめコンクリートで作られたブロックをコンクリートを用いながら積み上げて作られます。

間知ブロック積擁壁とは、間知ブロックを1列ずつ積み上げながら裏込めコンクリート等で一体化させた土留め擁壁です。

高低差の大きい場所に設けられ、現行基準を満たしていれば高さ5mくらいまでの擁壁を設置する事ができます。水抜き穴の設置が必須です。

間知石

約30cm角に形成された石をコンクリートで積み上げて作る擁壁です。

石と石の間をコンクリートで埋めることで「間知石練積み擁壁」とし、自然石積み擁壁のような風情を残しながら、強度も確保した構造になります。

昔ながらの石垣のように見えますが、現在の法律に照らしても十分な強度を持つ擁壁です。

注意が必要な擁壁

  • 石積み擁壁
  • 二段擁壁

石積み擁壁

イメージとしては、お城の城壁の石組みのイメージです。

自然石を積み上げた擁壁を自然石積み擁壁といいます。

野面積みや崩石積みともいわれ、コンクリートを使わずに作られます。

現在の法律では、強度を満たさないと判断されるため、ひび割れや膨らみはないか、排水は十分にできるか、などの確認が必要です。

高さが高い場合は、やり替えが必要になります。

石積み擁壁は50年以上前に多く用いられていた方法です。

2段擁壁

異なった種類の擁壁を組み合わせて、積み上げている擁壁です。

見た目で判断出来る為、比較的、見分け易いです。

下から2段目を撤去して 、1段目が基準を満たす場合は良いですが、

多くの場合、現況の宅盤まで擁壁が足りない為、やり替えになります。

土地探しの際に確認する擁壁のポイント

土地探しの際、まず、その物件の擁壁が基準をクリアしているかどうかを確認する必要があります。

確認する場合にどのような項目に注目すべきかを説明します。

購入する前に、必ず十分な安全性が保たれているかどうかを確認しましょう。

古い擁壁は、既に擁壁が劣化してしまっている可能性があります。

劣化してしまった擁壁は補修したとしても根本的な解決にはなりません。

やり替えの擁壁工事における費用は非常に高額で、

数百万円や数千万円かかるケースもあります。

《高さを確認する》

高さ2m超の擁壁の場合は、工作物建築確認及び検査済み証を確認します。

土木事務所や役所の資料で確認出来ます。

《擁壁の種類はいずれか》

間知ブロック積み・コンクリート・ブロックのどの擁壁かと構造を確認します。

さらに二段擁壁や二重擁壁は違反建築の可能性があるので、こちらも同様に確認します。

亀裂・ズレ・ひび・膨らみ・風化などはないか

亀裂・ズレ・ひび・膨らみ・風化などはないかなどを目で確認しましょう。

亀裂が大きく入っている、そもそもすでに傾いているといった場合は、古い擁壁を取り壊して新しいものを建設しなければなりません。

石積みやブロック積み擁壁では、亀裂やブロックなどがズレていることがあります。

すでに危険な状態で水害や地震の時に大きな被害を発生させる危険があります。

石積みやブロック積みだけでなく、既製品のコンクリート擁壁の場合も、

土圧によってズレや膨らみがでていることがあります。

この場合も危険な状態といえます。

水抜き穴が適正に設置されているか

擁壁は、壁面の面積3平方メートルにつき1ヶ所以上、

内径7.5cm以上の水を抜くための穴が必要です。

この穴を水抜き穴と呼びますが、水抜き穴が十分あるかも確認します。

水抜きの穴がなかったり、詰まっていて排水されていないなどの状態が見れる場合は、土圧以上の力が加わっている場合があるので要注意です。

このような状態は、危険性だけでなく宅地内の排水がうまくいっていないケースも考えられるので、家の建築の際は敷地内の排水も要注意です。

雨に日に水が抜けていない穴と、大量に水が出る穴などバラツキがないか、

雨の日の次の日に水が抜けているかも確認するとよいです。

購入後も水抜き穴に変化がないかなど水の出方を確認することもおすすめします。

もしも変化があるようなら、プロに相談するようにしましょう。

擁壁を新設する場合の注意点

コンクリート造の擁壁の場合、コンクリートの寿命は約50年とされています。

強度が確保された配合で生成されたコンクリートであれば、
経年劣化で崩壊することは少ないです。

豪雨などの影響で、地中にたまった雨水を抜く水抜き穴からうまく排水できない場合は、土の中にたまった水の水圧で擁壁が崩れる可能性もあります。

新設した場合も、水抜き穴に変化がないかなど水の出方を確認することもおすすめします。

まとめ

土地探しで擁壁のある土地を1番におすすめすることは少ないです。

擁壁が安全で立地が良かったり、希望のエリアや校区が土地探しの1番の条件で、
その条件を満たす土地に擁壁がある場合にその土地をおすすめすることはあります。

1番の条件を満たせず、コスト的な面で擁壁のある土地を購入する場合は、
要検討ではないかと思っています。

ただし、擁壁があるから、悪い土地というわけではなく、

確認検査済みだったり、確認する内容が満たされれば、良い土地になります。

以上、土地探しの参考にして頂けたら、幸いです。

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